【web小説】だらぶつ親父にさよならを【感想】

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タイトル:だらぶつ親父にさよならを
著者:はなぶさ利洋 さん
ジャンル:エッセイ
文字数:9,898文字(24/1/7 時点)

だらぶつ親父にさよならを(はなぶさ利洋) - カクヨム
あなたは家族を、無条件で愛せますか?

あらすじ

十一月五日、親父が死んだ。
この世に生を受けたと同時に始まった実の父からの私に対する受難。
長年に亘って、私を虐げ、いたぶり、全力で振り回してきた親父の亡骸に私は最後まで「ありがとう」と言わなかった。

感想

筆者の亡父に対する思いを綴ったエッセイです。
亡父は子どもを甘やかし、優しい言葉ばかりをかける父親ではありませんでした。むしろだらぶつ(馬鹿者)という言葉をかけ、息子を散々振り回します。
しかし父親であることに変わりはなく、身体の不調を聞いて心配しつつも、その死に一安心してしまう。複雑な息子の思いが述べられています。

かつて自分にかけられていた言葉を使った「だらぶつ親父」というタイトルは、亡き父へのささやかな抵抗のように思えます。
また、最終話の父親のエピソードから亡父にかけた台詞にもじんわりします。
全体が父の死を嘆き悲しむエッセイではなく、言葉選びにユーモアを含んだずば抜けた文章力で、あっという間に読了しました。
肉親に対する思い、葛藤、そして一つの悲しみの形を垣間見た気分になりました。

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