【彼女が最後に見たものは】刑事コンビ再び!【感想】

本紹介
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彼女が最後に見たものは

タイトル:彼女が最後に見たものは
著者:まさきとしか
ジャンル:ミステリ
初版発行日:2021年12月

おすすめな人・ポイント
刑事コンビの活躍を読みたい人
切なく絡み合う人間関係

前作「あの日、君は何をした」の続編!

あらすじ

クリスマスイブの夜、新宿区の空きビルで女性の遺体が発見された。五十代と思われる女性の着衣は乱れ、身元は不明。警視庁捜査一課の三ツ矢と戸塚警察署の田所は再びコンビを組み、捜査に当たる。
そして、女性の指紋が、千葉県で男性が刺殺された未解決事件の現場で採取された指紋と一致。名前は松波郁子、ホームレスだったことが判明する。二つの不可解な事件は予想外の接点でつながるが!?
彼女はなぜ殺されなければならなかったのか。真実が明かされるとき、景色が一変する。
家族の崩壊を圧倒的な筆致で描き、幸せの意味を問う三ツ矢&田所刑事シリーズ第二弾。

彼女が最後に見たものは(裏表紙)/まさきとしか

一見無関係の二つの事件

クリスマスイブの夜、とあるビルで一人の遺体が発見されます。
50~60歳のホームレスとみられる女性は、ビルの屋上から転落したと見られますが、直接の死因は頭部への打撲による脳内出血と判断されました。自殺目的の飛び降り?だとしても、いったい誰が彼女にとどめを刺したのか?
身元不明の彼女の事件を更に不可解にしたのが、彼女がある別の事件と関与した可能性が浮上したためです。
一年四カ月前、一人の男性が殺害され、工事現場の穴に放置されるという未解決事件が発生していました。その男、東山義春の命を奪った凶器に、ホームレスとみられる女性の指紋がついていたのです。

ビルで変死した女性が、東山の命を奪ったのか?その動機は、二人の繋がりは一体どこにあるのか?

前作「あの日、君は何をした」に登場する刑事コンビ、三ツ矢と岳斗の二人は事件解明のため、東山義春の妻である里沙の元を訪ねます。彼女は当時と同じ住居に住んでおり、夫を感じられる家を手放すことができないと涙ながらに悲しみを訴えます。そして、ホームレスの女性に見覚えはないとも。

やがて女性は松波郁子という名であり、夫を亡くしていることが判明します。彼女がホームレスとなっていたことに驚く周囲を探り、三ツ矢と岳斗は次第に真実に近づいていきます。

東山義春を、そして松波郁子を殺したのは誰なのか。二人の接点は一体どこにあり、本当に東山を殺したのは松波郁子なのか?読めば読むほどに謎が積み重なっていく作品です。

前作からのコンビ

「ですから、東山義春の事件の捜査員です。一応断ったほうがよくありませんか?」
「さん」
「はい?」
「東山義春さんは被害者です。さんをつけてください」
「あっはい。すみません」
「知りたくありませんか?」
「え?」
「フラワーアレンジメントです」
「はあ?」
「天気予報によると、千葉は今日の午前中は晴れのようです。フラワーアレンジメントが出窓に置いてあるかどうか見に行きましょう」

彼女が最後に見たものは(裏表紙)/まさきとしか

田所岳斗は、変わり者で有名な三ツ矢と再びペアを組むことになりました。
しかし三ツ矢は何を考えているか分からず、そのくせ的を射た発言で捜査を進展させるので、岳斗はたびたび自分の平凡さを嘆きます。
上記も二人の会話の一部で、東山里沙と話をした三ツ矢は、何故か窓辺に飾られていたフラワーアレンジメントが気になる様子。ちっとも違和感を覚えなかった岳斗には意味不明ですが、何かと彼の言動に付き合い、自分を認めてほしいと奮闘する彼の様子は微笑ましく、逆に三ツ矢の保護者のような面も見られます。
悪気なく正論を口にする三ツ矢のキャラクターにも不思議と嫌味がなく、共に事件を暴いていくような感覚を覚えます。

ラストに至る頃には、登場人物たちの思いがけない繋がりや伏線回収に圧倒され、悲しさの中に希望も見られる作品でした。

すっかりハマって第三段も買いました!

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