【つくもがみ貸します】ほっこり世界に浸れる【感想】

本紹介
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つくもがみ貸します

タイトル:つくもがみ貸します
著者:畑中恵
ジャンル:和風ファンタジー
初版発行日:2007年9月30日

おすすめな人

・あやかしの不思議な話が好き
・ほのぼのな物語を読みたい

2018年にアニメ化!

あらすじ

姉のお紅と弟の清次は、江戸の深川で古道具屋兼損料屋の出雲屋を営んでいる。
出雲屋は小さな店だが、そこには多くの「つくもがみ」と成った器物たちを扱っている。
お喋りで噂好きなつくもがみ達は、貸し出された先で聞いた様々な話を店で語る。
そのうち、お紅と清次の心にかかる、「蘇芳」の名が囁かれるようになって――。

付喪神とは

生まれて百年を経ると、器物の中には付喪神となるものがいるのさ。ただの物であったのが、大出世することになるのさね。
妖と化し力を得てゆくんだ。言葉を口にするし、人の言うことも分かる。何しろ妖となったんだからねえ。

つくもがみ貸します/畑中恵

付喪神、つくも神(つくもがみ)とは、日本に伝わる、長い年月を経た道具などに精霊(霊魂)が宿ったものである。人をたぶらかすとされた。
「つくもがみ」という言葉、ならびに「付喪神」という漢字表記は、室町時代の御伽草子系の絵巻物「付喪神絵巻」に見られるのである。それによると、道具は100年という年月を経ると精霊を得てこれに変化することが出来るという。

wikipedia/https://ja.wikipedia.org/wiki/%E4%BB%98%E5%96%AA%E7%A5%9E

出雲屋は、古道具を客に売るだけでなく、貸し出しも行ういわばレンタルショップです。
当時の江戸は火事が多く、物を買うのではなく借りて生活を営む人々がいました。
そして客に貸し出されたつくもがみ達は、客先で面白い話を仕入れては店で話し、それが騒動を解決する糸口となる……という物語です。
このつくもがみ達はプライドが高く、お紅と清次と直接口を利くことはありません。
それでも上手い具合に貸し出され、知らず知らずに協力してしまう可愛らしいキャラクター性が垣間見えます。

ほのぼのした優しい世界観

子どもにも安心して読ませられる、まさに全年齢対象の小説です。
ストーリーの鍵は、「蘇芳」と名のついた香炉が握っています。
序盤から「蘇芳」の名が登場し、その度に複雑な表情を見せるお紅と清次。

その理由をつくもがみ達が噂し合い、物語が進むにつれて姉弟の過去に遡り、一つのドラマが展開されます。
細やかな心情の描写や、蘇芳の謎が深まっていき、ラストでは全てが綺麗に収束します。
300ページに満たないボリュームは読みやすく、ほのぼのとしながらも謎の行方が気になり、一気に読み進められる作品です。

畠中さんのほっこり世界観!

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