【百年の孤独/G・ガルシア=マルケス】孤独な一族の100年の盛衰

名作文学
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百年の孤独

タイトル:百年の孤独
著者:ガブリエル・ガルシア=マルケス
翻訳者:鼓直
ジャンル:文学
初版発行年:1967年5月

おすすめな人

マジックリアリズムが好きな人
新しい読書体験をしたい人

あらすじ

蜃気楼の村マコンドを開墾しながら、愛なき世界を生きる孤独な一族、その百年の物語。錬金術に魅了される家長。いとこでもある妻とその子供たち。そしてどこからか到来する文明の印……。目も眩むような不思議な出来事が延々と続くが、預言者が羊皮紙に書き残した謎が解読された時、一族の波乱に満ちた歴史は劇的な最後を迎えるのだった。世界的ベストセラーとなった20生気文学屈指の傑作。

百年の孤独/新潮社文庫裏表紙

難解さの理由

「百年の孤独」はコロンビア出身のノーベル文学賞受賞作家、ガブリエル・ガルシア=マルケスにより1967年に刊行された長編小説です。世界的ベストセラーとなり、46言語に翻訳されています。

本作はNETFLIXで映像化が決定したこともあり、本屋で目にした方も多いのではないかと思います。600頁を超える大作であり、読み始めるのに躊躇してしまう人もいるでしょう。
また、難解さが話題になることもあり、敷居を高く感じるかもしれません。

その難解さの大本は、登場人物たちの名前の被りにあります。
舞台となる村、マコンドを切り開いた男の名は「ホセ・アルカディオ・ブエンディア」、その妻は「ウルスラ・イグアラン」。彼らの息子は「ホセ・アルカディオ」と「アウレリャノ」、また彼らの息子は「アルカディオ」と「アウレリャノ・ホセ」そして17人の「アウレリャノ」…と、主に「アルカディオ」と「アウレリャノ」と名のついた人物が世代を経て何人も登場することが混乱を招く大きな一因です。特に「アウレリャノ」の名のつく人物は総勢22人にも及びます。
文庫にはブエンディア家の家系図がついているので、よほど記憶力に自信がない限りは、本文と家系図を行ったり来たりして読む必要があります。

もちろんこれはブエンディア家の一員である人たちのみの家系図であり、これに当てはまらないキャラクターも複数登場します。
ジプシーの錬金術師であるメルキアデス、自動ピアノの職人として家に呼ばれたピエトロ・クレスピ、政府から町長に任命されたドン・アポリナル・モスコテ…。日本人に馴染みの薄い名前であることも、覚えにくさに端を発するかもしれません。

ブエンディア一族の盛衰の物語

物語はホセ・アルカディオ・ブエンディアとジプシーのメルキアデスが出会ったことから動き始めます。
家長であるホセ・アルカディオ・ブエンディアは、ジプシーたちが持ち込む氷や望遠鏡やレンズといった科学の産物に惹かれ、錬金術にのめり込みます。

そして100年の間に起こる様々な事件と死。
次第に物の名前やその意味を忘れてしまう感染性の不眠症の流行。アウレリャノの妻の突然死。保守党と自由党の間で起こる大規模な戦争。何年も引っ切り無しに続く雨…。一族の人間は死んでは生まれを繰り返し、時を繋いでいきます。

そして最もよく登場する「アルカディオ」「アウレリャノ」の名にはそれぞれ特徴があります。
「アルカディオ」の名を持つ者は総じて外交的で体格が良く我儘な気質を備えており、一方の「アウレリャノ」は内向的で線が細く物静かな人間です。世代を経てもこの名を冠する人物は同じ気質を有します。

代々続く「アウレリャノ」はメルキアデスの遺した預言にのめり込み、それを解読することに奮闘します。百年をかけてその預言が読み解かれた時、一族は大きな運命の転換を迎えるのです。

屋敷に住む大家族のブエンディア一族。しかしタイトルにあるように、彼らには常に孤独がつき纏います。誰しも一人で生き、一人で死んでいく。そんな逃れざる人間の業を感じさせる作品です

百年の孤独の魅力

本作がこれほど読み辛い設定にも関わらず世界中で絶賛されるには、いくつかの理由が考えられます。

引っ切り無しの生と死のエピソード

先に挙げたように、百年の孤独では多くの生と死、そして事件が息もつかせず起こります。
あれが収まれば次はこの事件が、誰かが死ねば誰かが生まれ、と600頁の100年という長さに退屈を覚えさせません。

マジックリアリズムの世界観

一般的に不思議な現象が作品の中では日常に受け入れられている奇怪さも魅力の一つでしょう。
ジプシーが持ち込む空飛ぶ絨毯から始まり、血縁同士で成した子には豚の尻尾が生えると言われています。不眠症は感染し、死人が当然のように現れる。
政府や戦争といったリアルな現実を感じさせる一方で、現実ではあり得ない現象が自然に取り入れられ、唯一無二の世界観を造り上げています。なんと140歳を超える人物もが現れるのですから。

現代にも通じる人間関係のリアルさ

世界観の奇抜な設定だけではなく、そこに生きる人々の関係、感情、いわゆる人間ドラマも目を引きます。
兄弟、つまり「アルカディオ」と「アウレリャノ」は同じ女性と関係を持ちそれぞれ子どもを成す一方で、別の女性と結婚します。そして結婚後も関係は途切れません。妻と情婦の間を行ったり来たりする者もいます。
その「アウレリャノ」が結婚相手に望んだのは9歳の少女「レメディオス・モスコテ」。更にレメディオスは「ホセ・アルカディオ・ブエンディア」を差し置いて政府からマコンドの町長に任命された人物の娘であり、周囲からも様々な反対や葛藤がせめぎ合います。
また、一族の一人である「レベーカ」と「アマランタ」は自動ピアノの調律に来た好青年の「ピエトロ・クレスピ」との結婚を巡って三角関係を構築するという泥沼状態。
現代にも通じる人間ドラマの様相がリアリティをもたらし、ブエンディア一族をより鮮やかに描きます。

読みにくさは否めませんが、それは決してつまらなさとイコールにはなりません。
新たな読書体験として、「百年の孤独」に挑戦してみるのはいかがでしょうか?

関係を忘れてしまわないうちに、一気読みをお勧めします!!

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