私たちは自分の意思で食生活を変えられますが、私たちのペットはベジタリアンになれるのでしょうか?
ベジタリアンとは?
ベジタリアンとは、日本語で菜食主義者を表します。
野菜や果物、豆類といった植物性の食品を主に摂取する人々です。
その言葉から「vegetable(野菜)」が語源かと思われますが、実はラテン語の「vegetus」が語源です。vegetusには「活気がある」「生命力がある」という意味があります。
世界で最もベジタリアンの割合が高い国はインドで、人口の3~4割を占めます。
インドで普及している宗教が、牛肉を食べないヒンドゥー教や豚肉を食すことが禁止されているイスラム教等であることがその理由の一つと考えられます。
日本ではさほど馴染みのない言葉ですが、2021年に行われた調査では、日本のベジタリアン率は5.1%という結果が出ました。
クラスに1~2人だと考えると、意外に多い数ですよね。
犬や猫は本来何を食べるのか?
時代の流れと共に広がりつつある菜食主義ですが、私たちが飼う犬や猫はその波に乗れるのでしょうか。
犬
犬は雑食の動物です。祖先はオオカミだから、犬も肉食では?と思われますが、オオカミ自体も雑食だといわれています。
犬は長い年月を経て家畜化していく中で、植物や穀物を食すようになり、それらを消化しやすい身体になりました。
猫
そして猫は犬と異なり、雑食ではなく肉食の動物です。
猫の身体は肉食動物として発達しています。
例えば、猫には30本の歯がありますが、食べ物をすり潰すための臼歯は一本もありません。犬には立派な臼歯が二本備わっています。
更に、猫の腸は短く2mしかありません。消化器官である腸は、消化しにくい植物を主食とする動物ほど長くなります。草食動物である牛の腸は、なんと50mの長さになります。猫の腸はその25分の1の長さしかないのです。
ペットをベジタリアンにできるのか?
そんな犬や猫を、ベジタリアンにすることは出来るのでしょうか?
ペットに対する野菜中心の食生活が可能であるかはグレーゾーンで、科学的にもまだ発展途上です。
可能だとされているペットもいますが、全ての動物には当てはまりません。
またペットを飼い主の判断でベジタリアンにすることは推奨されていません。
犬や猫が摂取する動物性タンパク質は、その身体を形作り活動するために、たくさんのアミノ酸を含んでいます。それは植物性タンパク質が含むものより多いです。
ペットは充分なタンパク質を得られないと、体重や筋肉が減少し、衰弱し、消化不良や胸部や腹部における体液の増加等に陥ってしまいます。
特に猫は、タウリンや動物性タンパク質のアミノ酸を必要とし、それがないと生きられません。
もし菜食中心の食生活になってタウリンが充分に供給されなくなると、猫は神経機能を悪くしたり生殖問題や心臓疾患に陥る可能性があり、ミネラルバランスを崩す原因にもなり得ます。
またカルシウムとリン脂質の比率が悪くなると、犬や猫では骨折リスクが増加し、子犬や子猫の発達をも阻害されるかもしれません。
ペットに対する採食中心の食事は、犬にとっては安全になり得ますが猫では難しいと考えられています。
採食中心の食事に置き換えても、バランスを取るために多くの添加物が必要となります。
植物中心の食事は、皮膚や胃腸に対して肉製品によるアレルギーを持つペットに限定した方が良いでしょう。
犬や猫は種としてヒトとは大きく異なります。
ペットをベジタリアンにするにはいくつも課題があり、健康において必要な場合に検討し、専門家と相談するようにしましょう。
私たちは自分の主義に従わせるよりも、ペットたちが幸せかつ健康で居られるようにすることが重要です。
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